酸蝕症
酸蝕症とは?
酸蝕症(さんしょくしょう)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
酸蝕症とは固いはずの歯の表面・エネメル質がじょじょに溶け出してしまう疾患で、冷たい飲食物がしみる知覚過敏や、虫歯のような痛みが起こります。また歯の表面が白濁したり、黄ばんでしまったりということも多いのです。
虫歯になった場合も歯が溶け出し、同様の症状に苦しみますが、虫歯の原因はミュータンス菌など“虫歯菌”と呼ばれる細菌によるもの。しかし酸蝕症は、酸性の飲食物や体内からの酸が原因となります。健康的な食生活を送っていれば、まず引き起こされることはないのですが、スポーツドリンクや柑橘類などを過剰摂取したり、無理なダイエットをしたりすると、酸蝕症になりやすい口内環境になってしまいます。
素人が外見だけで、自身が酸蝕症と判断するのは大変難しいものです。少しでも違和感持ったら、ただちに歯科医師に相談するのがベスト!初期の治療であるほど、予後がいいのは言うまでもありません。
酸蝕症の症状
酸蝕症の症状には、以下のような特徴があります。
- 歯の先端がギザギザになる
- 歯が全体的に極端に薄くなる
- 歯に穴があく
- 詰め物と歯の間に隙間ができる
- 詰め物やかぶせものが外れやすくなる
- 虫歯のような痛み
- 歯の表面が白濁する、もしくは黄ばむ。
- 歯のつやがなくなる
- 冷たい飲食物、甘い物、風に当たった刺激などで痛みを感じる知覚過敏
1の症状は、歯の先端が溶けて薄くなり、もろくなって欠けることから起こります。また2~6の症状もすべて、エネメル質が溶け象牙質がむき出しになることで色が変わったり、全体的に歯自体が薄く小さくなっていくことから起こります。そして歯全体が弱くなることで、7や8のような不快な症状に悩まされるのです。
酸蝕症とは、見た目ばかりでなく、健康まで損なう疾患なのです。
酸蝕症の原因
酸蝕症は、昔はメッキ工場やガラス工場で酸性のガスを吸うことで起こる、職業病の一種でした。現代では前述の通り、酸性の飲食物の過剰摂取が一番の原因で、生活習慣病と言えるでしょう。
酸性の代表的な飲食物には、主に下記のものがあります。
- レモン
- コーラ
- 栄養ドリンク
- 梅酒
- 赤ワイン
- 柑橘類
- もずく
- 黒酢ドリンク
- スポーツドリンク
- ビール
- サイダー
体にいいと言われているものでも、度が過ぎれば毒です。過ぎたるは猶及ばざるが如しの言葉の通り、無茶食い、ガブ飲みは避けましょう。
上記以外ですとビタミンC剤などのサプリメントや、アスピリンなどの過剰な服用も原因になりえます。
尚、疾病が酸蝕症を引き起こすこともあります。加齢、肥満、ストレスなどが原因で起こる逆流性食道炎は、強い酸性の胃液や消化途中の食物が、食道に逆流して、炎症を起こします。その逆流した胃酸や、胃酸による酸性ガスが口の中に入ると、酸蝕症の原因になるのです。
酸蝕症の治療法
酸蝕症の治療の第一歩は、まず原因を明らかにすることです。治療をしているのに、改めるべき生活習慣をそのままにしていては、根治できないからです。
原因がわかった後の治療法として、歯にやさしいスーパーエナメルやセラミック治療(かぶせもの)をお勧めしております。
詳しくは当院までお気軽にご相談ください。
酸蝕症の予防法
酸蝕症を予防したい、治療後は再発させたくないという人は、以下のことに気を付けましょう。
酸性の飲食物を摂ったら、うがいをする
酸性の飲食物の摂りすぎに注意するのはもちろんですが、適量食べた場合でも、食後に口をゆすぐことをお勧めします。口内が中性に戻り、歯が溶けるリスクがグッと減ります。
また、酸性の飲食物は少量であっても、長く口の中に入れないようにしましょう。
食事はよく噛んで食べる
食べ物をよく噛むと、唾液の分泌量が増えます。唾液中のミネラルは酸を中和する作用があり、酸蝕症の予防に効果的です。
いつまでもダラダラと食べない
だらだと間食をしていると、唾液中のミネラルが酸を中和する前に、新しい酸が増えてしまいます。またスポーツをしながらチビチビとスポーツドリンクを飲むのも、歯のことだけを考えればNG行為。飲んだらその度に、水で口をゆすぐのがベターです。
健やかな食生活を送る
逆流性食道炎も摂食障害も、完治までには時間がかかります。しかし問題を意識しながら対処を覚え、ゆっくりと健全な食生活を目指しましょう。
歯科クリニックでフッ素を塗る
歯の表面にフッ素などを定期的にコーティング。溶けにくい歯にするケアを受けましょう。